「理屈は後から宅急便」

前回、公共施設の運営が「お役所運営」になってしまう原因として、「決める人」と「やる人」が分離していることをあげました。人間誰しもやらされ仕事は嫌いです。いかに当事者意識をもってもらうかが大切です。

「意図的に計画された戦略」の行き詰まりってなんでしょうか?

そもそも「戦略」とは、現状と目指す姿(目標)のギャップを埋める方法です。
ですから、予め意図的に今後の方策について策定するものです。

戦略

それが行き詰まるってなんなんでしょう?
それと、そもそもそんなに上手く最初に建てた戦略通りに事が進んでいくのでしょうか?
経営の本などを読むと様々な企業のこれまでの成功事例が載っています。
いかにも優秀な戦略を建てて遂行してきたように書かれていますが、本当にそうでしょうか?

ピラミッド型企業で多いのが、経営戦略部門が建てた戦略を営業部門が実施するパターンです。
社長まで決裁された戦略は、市場環境が変化してもそれに追従するために途中で変更できません。一度は最後までやってからでないと対応できない状況になっています。こうなると誰もが「上手くいかない」とわかっていて戦略を遂行していきます。「計画的な失敗」です。

昔、僕の知り合い、ホンダの方でしたが、こういうコトバを聞きました。

「理屈は後から宅急便」

へぇ~、面白いって思いました。
どうなるか変化が読めないような環境で仕事を進める場合、ある程度の計画は建てるにしろ、あとはその場その場の現場対応力です。それが「結果的に」成功したら、後から学者でも誰でもが上手くいった理屈を作ってくれるし、いかようにも理屈づけできるってことです。
「勝てば官軍」かもしれませんが、だからといって行き当たりばったりでやっている訳ではありません。

このような市場の声を聞いて現場が柔軟に戦略を変更していくことを、経営の大家ヘンリー・ミンツバークは「戦略クラフティング」と呼んでいます。

次回は、「戦略クラフティング」というアートな考え方が具体的にどんなものかをご紹介します。
最近流行のリーンスタートアップのPivot(ピボット)の原点ともいえます。

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