ソムリエの田崎真也さんの著書です。”おもてなしは技術です”というフレーズにひかれて手に取りました。
本書は「接待編」、「デート編」の2部構成になっています。
「接待編」では、具体的なお店の選び方や準備の仕方、フレンチ、和食などのお店に種類によって気を付ける点などが述べられています。後半の「デート編」は、接待以前のマナーとかの女性のエスコートの仕方などの入門的要素になっています。
この本を読む日本人男性はとても耳が痛いと思います。(実際僕もそうでした・・)欧米人と違って女性に対するエスコートや接待等の宴会などの席での振る舞いがあまりにも下手だということがわかります。
日本人の男がもてなしベタなのは、日頃から家庭に帰ると上げ膳据え膳でお客様(ゲスト)気取りであり、子供の頃からそんな父親の様子を見て育ったからでもあります。反対に欧米では家庭で奥さんは料理はしますが、いざ料理が出来上がると奥さんや子供は席について、肉を切ったり、取り分けしたり、ワインをグラスに注ぐのは夫のホストしての仕事です。もてなすことは、「大人の男のたしなみ」なのです。
ただし、欧米の男性が女性のコートを脱ぐのを手伝ったり、イスを引いたりなどのエスコートをするのは、ただの「習慣」として行っている作業みたいなものであって、とくに意識しているわけではないのです。「習慣的な気遣い」にすぎないのです。
だから、そんな洒落たことできないよと萎縮することなく、この「もてなしの技術」を日本人の男性はぜひ習得しましょう。
■もてなしのトライアングル
「もてなし」=「ホスピタリティ」は無償、これはホストの役割であり、「サービス」は有償であり、お店の役割です。根本的に違いがあります。
・もてなされる「ゲスト」
・もてなす「ホスト」
・ホストの手足となって働く「サービススタッフ」
サービスを提供している店が、ゲストをもてなしているのではなく、ホストのお手伝いをする執事なのです。この3つの関係が成り立ってこそ、おもてなしができることになります。
■「楽しかったわ」と言ってもらう
デートの帰り際に彼女がお店のスタッフに向かって「美味しかったです。ごちそうさまでした」という。
ごちそうしたのはお店のスタッフでなく、あなたです。あなたがお金を払っているのに、おかしいと思いませんか?
お店を出たときに、あなたに向かって、彼女が「ごちそうさま、美味しかったわ」という状況をつくらないといけません。
さらには、「ごちそうさま、楽しかったわ」といわれるのが理想です。
楽しい時間を過ごすということは、共感しあうことです。デートで男性だけが行ってきた旅行の話や仕事自慢の話しをされてもちっとも女性は楽しくありません。食事で共感しあうことは簡単で、同じ料理を食べることで話題が生まれます。
もてなしの心は、「高級なお店に連れて行ってくれなくてもいい。どれだけ自分を思って、大切にしてくれるか。その気持ち、心がうれしいんだから」という女性の本音にあらわれています。
接待もデートも、互いにいい時間をすごすには、相手の心を読んで、どうしてあげれば喜んでもらえるかを考える。そうすれば、おのずともてなしができるようになります。
「習慣的な気遣い」を作業的に持続していくことができるようになり、その上に「本当の気遣い」が加わると、「心からのおもてなし」が完成するのです。
おもてなしの技術を身につけなきゃいけませんね。