起業しにくい日本 シリーズ中小企業白書白書2014より(2)

■起業分野・自営業主の個人所得

女性は「子育てや介護等、生活のニーズに根ざした「生活関連サービス業、娯楽業」、シニアはそれまでの職歴を活かした経営コンサルタントや営業代行等の「サービス業」、若者はITベンチャーに代表される「情報通信業」の割合が高くなっている。

起業家の7割強を占める自営業主の所得を見てると、所得は年々減少傾向にある。
100万円未満が3割超、200万円未満が5割超を占め、300万円未満になると実に7割を占める結果が出ており、起業しても収入が十分に得られないことが起業希望者数は激減の要因の1つになっていると考えられる。
しかし、女性起業家の生活関連サービス業は「小さな起業」が多いと考えられ、必然的に所得も低いと思われる。

第3-2-6図自営業主の個人所得第3-2-6図自営業主の個人所得.jpg

■世界で比較すると

では、世界の他国と日本を比較してみると起業家精神と起業環境の二面から課題があることがわかる。

・自営業の選好度が低い(米国50%に対し、日本は23%)
・日本の起業環境は総合順位で120位(世界銀行が行なった起業環境に関する国際比較)

もともと起業への意識が低く、かつ、起業する環境が厳しいことから起業家が増えない要因になっている。
起業をしない理由に、「収入、やりがい、プライベートの面で現状に満足している」、「事業失敗時のリスクを考えると、起業の準備に踏み出せない」が多くを占めていることからも国際比較の結果がうなずける。

とはいえ、終身雇用の崩壊、就職難もあり、高度成長期のような就労環境が訪れることは難しく、今後の社会環境を考えると好むと好まざるに関係無く「雇われない働き方」がより意識されるはずである。

では、起業にいたる各ステージ毎に、その特徴や課題を見ていきましょう。

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