”バーサタイリスト”って何だ?

ハンズラボ株式会社という会社の会社案内にこのようなことが書かれてありました。
(ハンズラボ株式会社はあの東急ハンズのシステム子会社です。なぜ、ハンズがシステム??ってことにも興味がわきますね。)

”ハンズラボは、バーサタイリスト(なんでもやる人)を育てる会社です。
例えば小売業の分野であれば、バイヤー兼WEBエンジニアというような人材を育てる、唯一の会社です。 ”

バーサタイリストとは、原典はガートナーが2005年のレポートで発案したITエンジニア向けの人材像で、
”複数の分野に対応できるエンジニア”のことです。それが転じ、多能工、多芸者、多能職という意味で使われています。

Versalitists are people whose numerous roles, assignments and experiences are enabling them to synthesize knowledge and context to fuel business value.

より詳しく定義すると、
”特定領域の深い専門知識とその周辺知識、社内部門間の利害関係などを調整できるコミュニケーション能力などをバランスよく持つ者”
となり、特定の領域で深い知識を持つ”スペシャリスト”や決して深くはなくとも広範な知識を持つ”ゼネラリスト”では変化が激しいIT業界が求める人材としては不十分であることからきています。

バーサタイリスト(Versatilist)の”versatile”は”多才の,多芸な,多方面にわたる,何をやらせてもうまい”、という意味で実に都合のいいスーパーマン的な人材をイメージさせます。そんな人材はそうそういませんから、バーサタイリストの立ち位置は、”複数の専門分野を持ちながらも専門バカではなく、ビジネスも理解している人材”といったところでしょうか。狭く捉えれば旧来言われているT型人材とかπ型人材と同じ意味合いです。

ネット時代になって、ビジネスのスピードや変化が速い昨今では、ある分野だけに専門能力を持つだけでは”使えない”場合が多くなっています。ビジネス全体を俯瞰して、どの部分にどの専門性を生かせばいいかを自律的に判断し行動してもらわないといけません。誰かがお膳立てしておいて、さぁ専門家の登場!では、ビジネスは進みません。特にクラウドなどを使って少人数でビジネスが実現できるスモールカンパニーなどでは、専門性を持った何でも屋でないと仕事はまわりません。

バーサタイリストという言葉を聞いて、”ワーク・シフト”で述べられている第一のシフト”ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ”が思い浮かびました。何でも広く浅くできるゼネラリストから、その時代その時に必要となる専門能力を連続的に習得して仕事を変えていく”専門技能の連続的習得者”です。

連続スペシャリストの方が、既にそうなっている静的なイメージのT型人材、π型人材、バーサタイリストよりも、動的な今も動いて成長し続けているイメージが強い気がします。連続スペシャリストのある時点がバーサタイリストなのだと捉えていいかもしれません。

変化のスピードが速く、すぐに知識が陳腐化し、付加価値の低い業務の機械化が進んでいくこれからの時代に求められるのは、1つの専門性だけでなく、複数の専門能力に、人との交渉も含めたコミュニケーション能力をもったバーサタイリスト、連続スペシャリストでしょう。
もちろん、個人1人で仕事やるのでなく、複数のバーサタイリストと強力してスキルを補完しながらやっていかねばなりません。そのためにも、協力者に提供できるあなた固有のスキルの有無がより重要になってきます。

バーサタイリストはIT業界のみならず、これからの私たちの働き方の目指す姿の1つとなるでしょう。

・ハンズラボ株式会社 https://www.hands-lab.com/index.php
・Gartner Says Technical Aptitude No Longer Enough To Secure Future for IT Professionals http://www.gartner.com/newsroom/id/492218

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