meetup! 読書の秋 大人の図書館活用(図書館長を囲んで)

20131001今回のmeetup!はゲストに塩尻市立図書館長をゲストに招いての「大人の図書館活用」でした。
はるばる横浜からみえられたIさん、ここ中信地区の別の図書館の司書のMさん(視察か?^^)、勉強のために松本図書館を利用されているHさん、編集者のKなどが参加され、図書館への感心が高いことを感じました。

私たちが思っている図書館像(本を無料で借りるところ)だけでない、創造的な役に立つ図書館の姿について館長からお話しを伺いました。

■日本は100年遅れている!!
Amazonでの販売や電子書籍などが増えてきていますが、現実の図書館でぶらぶらすること(=ブラウジングっていうそうです)で思わぬ本に出会うことありますよね?それは現実の図書館の大きな強みです。
日本の図書館界は2000年頃から変化が起きました。
そのきっかけを作ったのがに「未来をつくる図書館—ニューヨークからの報告—」(岩波新書)です。この本はニューヨーク公立図書館の新たな取り組みについて紹介した本です。それともう1冊は、「図書館ねこデューイ 町を幸せにしたトラねこの物語」(ハヤカワ文庫NF)です。この本は町の図書館の返却ボックスに捨てられた子猫が図書館のマスコットとなり人口過疎の町に変化を与えた実話です。ぜひ手に取ってみてください。
これらの本の影響を受け日本の図書館も変化が起きています。
ここ塩尻市立図書館も”ビジネス支援”を強化しようとしていますが、米国では100年も前からビジネス支援は行われており、当たり前の光景として前出の本に描かれています。アメリカの図書館では職業案内、履歴書の書き方、専門家の紹介などのビジネス支援は普通のサービスです。
塩尻市立図書館では、いたずらに来館者数を増やすのでなく市民の役に立つ図書館、知の交流地点を目指しています。

2013-10-01 19.18.42■仕事に役立つ商用データベース
塩尻市立図書館には、日経テレコン21はじめ7つの商用データベースが無料で使えます。
地元紙信濃毎日新聞は明治6年から、朝日新聞は1945年から紙面が収録されています。
書籍だと分厚く即時性に欠けますが、雑誌だと誰が書いたかの所在がはっきりしていて速報性もあるため雑誌の蔵書にも力を入れています。

■もっと司書を使ってくれ!
もっとレファレンスを使ってもらいたい。
ここには20人を超える司書がいます。
自分で1時間かけて探すものを司書に頼んで探してもらえば大幅に時間が短縮します。その短縮してできた時間を本来作業に有効に使って欲しい。
「○○を調べたいいんだけどいい本ありませんか?」といったあいまいな質問でも構いません。
司書は何を聞かれるか怖々ですが、経験を積むことで成長していきます。返本作業時に尋ねられることが多いようですので、わざと小分けに返本させるようにしています。効率を考えれば一度にたくさんの本をまとめて返本すべきですが、司書には忙しそうにするなと伝えており、尋ねやすい雰囲気を作ることを心がけています。
一度司書に探してもらう旨みを知った方はよく利用されています。あの司書に調べてもらいたいって指名する方も中にはおられますよ。
もし探している資料がこの図書館になければ近隣の図書館から取り寄せますし、それでもなければ国立国会図書館からでも取り寄せることができます。

2013-10-01 19.34.44■ハローワークとの連携
ビジネス支援を塩尻市立図書館では「しごと情報」といっていますが、ここにはハローワークの求人票も置いています。
図書館が入っている市民交流センターには、商工会議所、ハローワークも同居していますので、ハローワークに最初はおそるおそる余った求人票を置かせてもらえないか?と相談したんです。すると先方の方から「置いていただけるんですか!よろこんで置かせてください」、と積極的なアプローチを受けました。図書館は平日20時まで土日も開館しており、夕方土日閉まっているハローワークよりも求職者の目に触れる機会が多いんですよね。
求人票と同じコーナーに職業関連の本のコーナーも設けていますので、そちらも併せて活用いただけたらと思います。

館長からの話はこれまで私たちが抱いていた図書館のイメージとは全然違うものでした。

これまで松本図書館の学習室を利用していたHさんからは「初めてここに来ましたが、こんないいところだったら乗り換えちゃおう」。司書のMさんからは「すごく勉強になりました。ありがとうございます!」、ブックカフェ開店を考えているIさんからは「地域の図書館と、個人経営の特色あるブックカフェの連携も面白いのでは?」の感想をいただきました。

書店と図書館の違いは?という質問には、
「書店は売れすぎの本を並べている。図書館は何十年と保管すべき本を取り扱っている」
「最近の大型書店はレファレンスサービスを行っているところもあるが、そこのレファレンスは”本”がどこにあるかまで。図書館でのレファレンスは薄ぼんやりと何を探していいかわからない人も対応します」

たしかに市民交流センターと一体となった図書館のインフラは立派です。でもそれ以上に、そこで働いている人たちが今の図書館を作っているのだと思います。館長の前向きな考えや姿勢があるからこその今の塩尻市立図書館です。
館長にここの図書館の強みってなんですか?と尋ねたところ、「職員のホスピタリティです。人が基本です」との答えが返ってきました。これが居心地の良さの秘密なんですね。

本を探すのに司書さんにお手伝いしていただくなど図書館の機能をもっとPRして多くの方々に塩尻市立図書館の良さをわかっていただくために、私たちもmeetup!で取り上げる機会を今後も持ちたいと思います。

いただいた資料にこんなタイトルのものがありました。
「ビジネスパーソンのみなさまへ 図書館をあなたのセカンドオフィスにしませんか」

はい、ぜひセカンドオフィスとして使わせていただきます!

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