平成25年度中小企業診断士2次試験設問要求解釈 みなさん、本試験お疲れ様でした。 本試験問題が公開されましたので、チャレンジしてみました。 各事例とも与件文は読まずに設問要求解析のみを行った段階での所感になります。 まったく的外れの部分もあると思いますが、昨年合格者の1つの対応の仕方としてご覧いただければと思います。。 ■事例1 第1問、第2問が35点と配点が大きいので大切に対応する。第2問が割と定番なので解答しやすいのでは? 本年の事例1は奇をてらったものではなく、オーソドックスな感じを受けました。 第1問 急速に事業を拡大させているA社について (設問1) 通信販売事業を長期的に継続するにあたって、新商品・新規顧客以外の施策が問われている。 アンゾフの成長マトリクスに照らして、既存商品+既存顧客での市場浸透政策などが考えられる。 あくまでも”新”でなく、”既存”に着目。 (設問2) 急速に拡大してもなぜ問題が生じていないのか?しかも正規社員を増やさずに。 非正規社員との比較(第2問が非正規社員なので関係性に注意)し、”体制”なので、制度・権限委譲・コミュニケーション等の切り口で考える。 第2問 非正規社員の活用について (設問1) 時給が高くてもベテランを雇っている理由、しかも”オペレーター”として。 オペレーターの業務内容に着目。新人ではできない理由があるはず。 (設問2) 非正規社員の離職率が低い理由。過去問にも同様のことが問われている定番問題。 採用・評価・教育・報酬の切り口で考える(今回は報酬以外)。 非正規社員のモチベーションも考慮。 第3問 これまで中途採用だったのが、大卒新人採用に変わった理由。 中途採用時代と新規採用を初めた最近の事業環境の変化に着目。 中途では対応できなくなった環境変化があるはず。即戦力ではなくなった? 中途の持つスキルではなく、A社固有の独自スキルが必要となり自社で育てるしかなくなってきたことや大学との連携強化などが考えられる。(過去TAC演習で同様のことが問われた事がある) 第4問 得られた情報がどんなものか。新商品開発に“直接”は結びついていない組織・人事的な要因を探る。あくまでも事例1なのでシステム的なものではないことに注意。組織構造上の問題、情報の内容、受け渡すタイミング、情報が加工されていて顧客の声が薄まっている、等が考えられる。もしかすると“直接的な”顧客の声ではなく、加工された“間接的な”顧客の声が原因かもしれない。 ■事例2 奇をてらった計算問題は動揺を誘うが、それ以外は昨年同様のオーソドックスな設問と感じた。 いかに計算問題で平静を保ち、与件文に忠実に解答を導き出せるかが勝負。 第1問 時勢に注意。また、売上の拡大は見込めないが、上がりもしないし下がりもしないということ。 安定的な取引先がある、業界の動向、上がる部分と下がる部分があって補完しているなど。 第2問 昨年の事例2にもあったブランドの設問で、一見何解答してもいいのではないか?と思わせる。 しかし、しっかり与件文に書かれてある範囲で解答すること。 地域ブランドを高めることと農産物の品質の高さを訴求するという条件から外れないこと。 いろいろパッケージの物理的条件はあるが直接的には関係無いと思われる。 第3問 飛び道具がきました! 条件を落ち着いて整理し、何と何を比較すればいいのかに注意する。昨年の水平・垂直の設問に似ており、入れ子にしてしまうと痛い。昨年の事例3にあったグラフの読みとり問題とも解答させ方の類似性を感じる。 計算するにしてもたぶんそんな難しい数値は不要と思われるが、これが本番だと同様します。 (設問1) 視点はB社。B社にとっての影響を考える。かまぼこカテゴリーの競争構造=売上比率の変化を記述すること。その変化がイベント開催によって生じたはず。 (設問1) 視点はYスーパー。前問がB社の視点なのでここを入れくりにしたり混同しないこと。 第4問 (設問1) インターネット販売開始の前と後で変化する販売比率に着目。店頭販売が減り、ネット販売が増えることで何が変わるのか? 1つは自社で在庫を抱えないといけないこと、営業員が少なくていいこと、売上構成などが考えられる。 (設問2) オフラインtoオンラインの戦略。いわゆる口コミ喚起が考えられる。 条件として、顧客が地元ではないことに注意。 インターネット販売の店頭販売に対してのメリット・デメリットを比較して、デメリットを解消する方向のセールス戦略を考える。 ■事例3 この事例もオーソドックスな感じ。 生産技術に関する設問というよりも戦略系の設問が多く、その意味では事例1に近い印象である。 事例2で動揺した後ではあるが、お昼休みでペースを戻し本事例にあたれたらよかったのではないか。 第1問 横ばいの業績を改善するために、わざわざ競合のいる市場への進出を行う。 (設問1) C社とX社の比較を行い、そのうち”首都圏市場”でX社が弱いところ+C社が強いとことを抜き出す。 (設問2) 関東工場の現在の役割と首都圏市場に参入した時の役割の比較。 役割の変化は、当然に設問1で問われた競争優位性の確保、強化のためである。 第2問 配点40点なので、キーとなる問題、慎重に対応する。 制約条件が“技術部門”内であること、切り口が”情報共有化”と”業務効率化”であることに留意。 技術部門で情報を共有することで業務効率化が図れることになっていることにも注意。 (設問1) 情報項目を答えさせる定番の問題。“共有”なので、情報の収集・分析・活用・共有の視点を持つ。 (設問2) 技術部門内で抱えているムダ・ムリ・ムラを探し、その改善策を解答する。改善内容は情報共有することで解決するはず。 第3問 過去の成功体験を生かす、失敗体験を再度犯さないという定番の問題。 設問にもわざわざ丁寧にそのように書かれており親切すぎる感がある。 制約条件として、通信用部材市場“以外”である。 留意点を聞かれているので、留意点=成功する条件=過去の失敗を繰り返さないことと考える。 過去の失敗の要因とそれを今回回避する施策が留意点となる。 失敗の要因は~、留意点は~のスタイルで解答できる。 ■事例4 昨年より難しいですね。 最後の最後にこの事例4だと相当へこみます、きっと。 得点としては、第1問はきっちり、第2問で半分はいかないくらい、第3問は埋める、くらいの対応しかとれそうもありません。 計算過程を書くこともないため、計算問題に関しては部分点は見込めません。 ただし計算はほとんどの人ができないはずですから、記述部分で如何に部分点を稼ぐかになりそうです。 第1問 経営分析の復活です。 出資前と出資後の財務状況の変化を示す財務指標を求めます。 出資により変化するもの(余剰基金から70百万、借入30百万)の読みとりがわかりにくい感じがしました。 第2問 配点が45点と全体の半分を占めるためびびります。 設問文が長いため冷静に文意を読み取らないといけません。 変動費、固定費が出てきているので損益分岐点分析の気配もしました。固定費の計算では別に支払利息と減価償却費を足さないといけないことに注意。 (設問1) 営業CFがやっぱり出ましたね。 しかし200%定額法は知りませんでした。ここはすっぱり諦めて定額法の方だけでの得点を狙います。 (設問2) 200%定額法は知らないのでそれは無視して、定額法と定率法の違いによる償却額の違いから営業CFの違いを書くことはできるでしょう。 (設問3) 設問3では定額法でいいとなっています。ですので、設問1での影響はここではでません。しかしながら計算は大変そうです。 この第2問は設問1が半分、設問2はとにかく書く、設問3も難問となっており、かなりめげる構成になっていると感じました。 第3問 昨年の最後の200字と同様にとにかく何か書いておかないと得点できません。 生産計画~納品までにどのようなプロセスがあるのか?品質が落ちた場合にどのプロセスに問題が発生するのか。そのリスクは何なのかを書くことになります。しかし、たぶんこれは与件文には記載されていない臭いがぷんぷんです。 ■全体を通じて 事例1~3は例年通りのオーソドックスな定番の設問が多かったと感じます。 事例2も計算問題は出ましたが、それ以外は要求されている内容は例年通りです。 最後の事例4は計算が難化し200%定率法を知らない場合どうしようもないですが、6割に届かずとも確実に解答できる経営分析や記述部分、1,2問の計算だけでも歯を食いしばって捕りにいく執念だと思います。きっと事例4ではそのまま6割は取れないと思います。 設問要求分析だけでの所感なので、これを本番で受験されたみなさんの緊張度は想像を絶するものと思います。 昨年の本試験でもかなりの変化球感を感じましたが、今年も負けていません。 とはいえ、事例1~3は事例2の計算で動揺しなければ従来通りの学習で十分狙えるものです。 事例4については明らかに80分の制限かつあの頭の疲れた時間帯で解答するには実力よりも現場対応力、決断力が効いてくると感じました。 昨年の事例4で、もうイヤだと思いましたが、今年の事例4は本当に本番で対応するにはつらいと感じます。 みなさん、本当にお疲れ様でした。 中村剣