会社概要

株式会社マイクロネット  信州事業所
業    種:ハード・ソフト・システム開発
所在地:
〒399-0702
長野県塩尻市広丘野村1376-14
電話:0263-52-8655(代)
http://www.micronet.co.jp/

技術者社長だからこそのハードとソフトの一体開発

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中村:
本日はお忙しいところありがとうございます。
マイクロネット様は本社が川崎ですが、ここ塩尻に信州事業所・システム開発センターを構えられています。

浜社長:
はい、マイクロネットの前身にはマイクロデバイスという会社がありました。
前社長が塩尻のプリンターメーカーとのお付き合いがあり塩尻に事業所を設けていました。マイクロデバイスのコンピューター関係を分社化して平成2年7月に設立したのがマイクロネットになります。
もともと塩尻ではコンピューター関連の仕事を行っていましたので、そのままマイクロネットのソフトウェア・ハードウェアの設計・開発拠点となっています。

中村:
浜社長のご経歴をみますと若い頃からコンピューターにご興味がおありだったみたいですね。

浜社長:
昔の話になりますが、まだパソコンが無かった時代、そうワンボードマイコン(注1※)とかの時ですかね。
コンピューターがどうしても欲しかったんですよ。当時、ミニコンというものが250万円でした。
給料が10万円なのでとても買えるものではありません。そこで自分で作ろうと思い立ったのです。
秋葉原まで通って、トランジスタを1000個買ってきて自分で作りました。ちょっとしたプログラムしか動きませんが、確かに加減算ができ、確かめることができました。
またワンボードマイコンのTK80(注2※)が出たときも買わずに自分で設計して自作したものでBASIC(注3※)やアセンブラ(注4※)で遊んでいました。

注1:むき出しの一枚(ワン)のプリント基板(ボード)の上に、電子部品と最低限の入出力装置を付けただけの簡素なマイクロコンピューター
注2:日本電気(NEC)の半導体事業部(現在のルネサス エレクトロニクス)が1976年に発売した、マイクロコンピューターシステム開発のためのトレーニングキット
注3:手続き型プログラミング言語のひとつ。
注4:アセンブリ言語(0と1で構成される機械語を人間に理解できるように表現した英数字)のソースコードを、コンピューターが解釈できる機械語のプログラムに変換するソフトウェア

中村:
すごいですね。私が初めてパソコンを触ったのがMZ-80
(注5※)の頃なのでその5~6年前ですね。

浜社長:
MZ-80はシャープですね。私はNECのPC-8001から9801を使っていました。
当時は岡谷の工場で働いていまして、それこそ様々な開発をやっていました。
日立さんがまだオーディオ事業をやっていた頃なので、カラオケ機器を作ったり、メロディカードを作ったり、ソフトとハード両方やっていましたね。
製造ラインの検査の仕組みを作る際も、それまでは基板に電子部品がきちんと刺さっているかを目視でやっていたものを自動化しました。
これもソフトだけで無くハードウェアとの組み合わせで作ったものです。
量産品に携われたので、市場へ出るまでの厳しさを体験できましたし、自分が設計した製品が市場に出る喜びも体験することができました。

注5:シャープのMZシリーズに属する1978年に発売された8ビットパーソナルコンピューターのシリーズ

中村:
昔からソフトだけでなく、ハードウェアも一緒にやってこられた浜社長の経験が、今のマイクロネット様の特徴であるハードウェアからソフトウェアまでのトータルなシステム開発の原点なのですね。

浜社長:
ハードウェアがわからないとソフトウェアが書けません。ハードをきちんとやっているとソフトウェアもわかります。
ハードウェアもアナログ部分がわかっていると応用が利きやすいのです。
アナログというと古いイメージがありますが、今流行りのセンサーだって人間だってアナログでしょ。
このアナログ技術が当社が取り組んでいるANCにも大切なのです。

教育ソフト「IS Book」シリーズの誕生

IMG_4011● 「IS Book」シリーズ

中村:
マイクロネット様はシステム開発が主業務ですが、教育用ソフトを手がけてられている珍しい企業です。
どのような経緯で教育用ソフトを扱うようになったのですか。

浜社長:
当社は電機系エンジニアのための教育用ソフトとして「IS Book」シリーズというシミュレーター内蔵の参考書ソフトを販売しています。
ただ参考書を読むだけではなく、シミュレーター機能を内蔵しておりますので直感的な回路動作の理解に役立ちます。
これももともとは私が趣味で作ったものなのです。
当時、既存の電気回路シミュレーターはあったのですが、高価でしたし使いにくかった。これなら自分で作っちゃえってことで本を買いあさって休日趣味で作り始めたものなのです。

中村:
浜社長は何でも自作されちゃいますねぇ。(笑)

浜社長:
まずはMS-DOS上のシミュレーションソフトとして作りました。
Windows3.0から3.1になりかなり使い易くなってきたので社内でWindows用ソフトの勉強会をやったのです。
しかし2ヶ月経ってもウィンドウすら表示できませんでした。
そこでBorland製の開発環境を買って試したらあっさりウィンドウが表示できました。
なら、このウィンドウ上で回路シミュレーターを動かそうとMS-DOSで動いていたソフトを1年くらいかけてWindows用に作り直しました。
このソフトにかっこいいアイコンを作ってもらって見てくれを良くしたら、これは売れるかもしれないって気がして、前社長に販売したいと相談しました。
前社長からこんなの売れるはずがないって言われましたが、別段費用がかかるわけでもないので許可をもらいました。
nifty(ニフティ)のフォーラムに掲載するとみるみるダウンロード数が増えていって売れ始めました。
使い易かったことがよかったのでしょう。専門学校や大学からも引き合いがきました。

kairo● IS Bookの画面

浜社長:
この最初のシミュレーターにその使い方や電気回路の動きの説明を加えたもの、これが今の「IS Book」の前身になります。
東京電機大学の三谷教授との出会いも大きかったです。先生がわざわざ訪ねてみえられました。今では大学での授業に使っていただいたり、「IS Book」の執筆にも関わっていただいたり、分かりやすい解説や新機能のデバッグにもご協力をいただいています。
学生用にと価格を抑えたのですが、大学生は買ってくれませんねぇ(笑)。
日本では学生の理系離れが問題になっていますが、小さい子供たちに科学のおもしろさを伝えたい。教育はとても重要です。しかし、どれだけの市場があって伸びるかはビジネスとしては難しいのですが少しでも貢献できたらと思っています。
テレビがアナログからデジタル化したことで、誰でも部品を組み合わせればそこそこのものを作れるようになり、日本のテレビ産業が衰退してしまいました。アナログの時代は調整が難しく、それが日本のお家芸でした。
シミュレーターを使うことで電気の波長のアナログな動きを体験してもらうとともに、デジタルによる仕組みを考える力をはぐくんでいってもらいたい。そこに日本が生き残っていく場があると思っています。
この「IS Book」ではコンテンツ+シミュレーターの組み合わせで特許も取得しました。教育ソフトは当社の特徴の1つとしてこれからもやっていきたいですし、新しいものを出していきたいですね。

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