社員一人一人との対話による能力育成

中村:
さきほどの「打てば響く会社」もそうですが、新しい研究開発を行うにあたって社員さんの人材育成や能力開発はどのようにされているのですか。
受託業務もあり、なかなか日常業務の中だけでは新しい研究は行いにくいと思いますが。

浜社長:
受託業務は品質、納期とも厳守です。
これはしっかりやってもらわないといけません。
当社の技術者は40名ほどなので、私が個々人の能力をみながら業務を行ってもらっています。
定期的に社員を呼んで話しを聞いています。
その社員の好きなことが何かをみて、なるだけそれに合うような仕事をさせて能力を伸ばしていきたいと思っています。
好きなことだと困難なことがあっても乗り越えられますから。
採用の際もそうです。
これまでの採用面接には全員立ち会ってきたのですが、その時にこんなことを聞くんです。
「小さい頃何してたの?何かモノを壊したり、分解して修理したりしたことある?」など。
何かにのめり込んだことのある人、アナログ回路の好きな人、など技術が好きな人を採用しています。
中途採用の場合もそうです。「前の会社と比べてうちはどう?」など、社員と直接面談して話すようにしています。

中村:
社長自らが全ての技術者と対話して個々人の個性を生かすように考えられているのですね。
うらやましいですね。

浜社長:
今は社長業をやっていますから、経営的には現実の受託開発も大切です。
それと同時に先を見据えた技術の蓄積も大切です。ここ3年は目先のことで必死でしたが、ここにきてようやく先を見ることができるゆとりが出てきました。
社内の人材を活用したANCの開発がうまくあたってきたと思います。
個々の技術者を見ながら10年後どうなっているかを考えて、プロジェクトに充てるようにしています。

技術者としての喜びを感じてもらいたい

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中村:
最後に、これからマイクロネット様が目指す企業像、若い技術者へ期待することなどをお聞かせ願えますか?

浜社長:
大企業が目指す市場と中小企業が目指す市場は違うと思っています。
大手でもANCをやられているところはありますが、特徴ある技術を身につけ当社だからできるものでないと生き残っていくのは難しいでしょう。
当社はソフトとハードの両方を手がけていることに特徴があります。
これを生かし、幅広くいろんな経験を積みながら技術蓄積をやっていくことでマイクロネットならでは強みを出して社会に役立っていきたいと思っています。
人材確保も、リーマンショック前は合同説明会に出ても誰一人来ないときもありました。
ですがここ最近は結構な数の方に来ていただけるようになりました。
先ほど社員と面談をしているとお話しましたが、若いうち本人は10年後の自分がどうなっているのかあまり考えていません。
目の前の研究開発に没頭しています。
だからこそ我々みたいなものが、彼らの10年後を考えて夢や仕事を与えていかないといけないと思います。
今携わっている業務で彼が成長しそうなら、それが生かせるプロジェクトに引き抜いたり、合わなそうなら別の活躍の機会を与えたりして技術力を高めていくことで、会社が伸びていくことにつながると思います。
そして何より、ただ給料をもらうために働くのではなく、技術者としてできなかったことができたときの喜びを感じてもらいたいと思っています。

KEN'S EYE

マイクロネット様の強さの源泉は根っからの技術者である浜社長が、経営者としてだけでなく技術者としても一人一人の社員との対話を通じてスキルや適正を把握されていることだと思います。
「技術者としての喜びを感じて欲しい」とはまさに技術者社長ならではの想いであり、それが社員に伝わっているからこそ、研究開発型企業としてハードとソフトが両輪の強みになっています。
今後広く応用されるであろうANC での技術開発に期待が高まります。

【インタビューアー:中村 剣(中小企業診断士)】2014/03/10

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