まほろ駅前シリーズ第2弾。
前作でお客として登場してきた人たちの目線でお話が語られます。
相変わらずの主人公の多田と行天。TVドラマの影響ですっかり瑛太と松田龍平のイメージで読み進みました。この番外地を読むことで、物語の背景がわかり前作がよりいっそう深みが増しました。
まほろバスのありもしない間引き運転を調べさせるために多田たちに仕事を依頼する岡さんの話「岡夫人は観察する」は、長年連れ添ってきた夫婦の心情がうま~く語られています。
なんか、深いです。
”もはや夫とは男と女ではなく、あまりにも長くともに時間を過ごしたために、夫婦であるという事実すらも鈍磨してきている。
けれど心のなかにある、灯火のようなものは消えないのだ。
男女や家族や夫婦といった言葉を超えて、ただなんとなく、大事だと感じる気持ち。
とても低温だがしぶとく持続する、静かな祈りにも似た境地”
「逃げる男」では多田の恋いの始まりが語られ、最後の「なごりの月」では行天の謎の一面が垣間見られ、早く続きが読みたくなります。