ちえてらすコンサルティング

質実剛健な老舗製造業 赤羽工機有限会社(2)

独自の自動化の推進

IMG_3122   ● 自社で開発した自動ロボット

中村:
先ほど工場も見学させていただきました。
自社で改造された機械があちらこちらにありました。
社長が話されているように自動化が進んでいます。
ロボットの動きを見ると、本当に人間と同じにみえました。
素早い動きをしたかと思うと、部品を台座に載せる時はそっと丁寧な動きに変わります。
こういったロボット化も自社製ならではなんですね。
また作業員のみなさんも若い方が多いようにみえました。

中島社長:
中小企業でロボットを有効活用するため社内で組付けをしている会社はまだ少ないと思います。
工場内にもLANケーブルが張り巡らされていますが、それらも社内で行ったものです。
進捗管理もバーコードを利用した自社製プログラムです。
自動化も生き残るための施策です。
大量生産のための自動化は簡単です。私たちが目指しているのは、短納期、小ロットに対応したロボット化です。
例えて言えば、パートの奥さんたちのようなロボットです。
パートの奥さんたちだと、この仕事が空いたらあの仕事にまわす、みたいに臨機応変に仕事をすることができます。これが理想ですね。

中村:
平成21年に長野県工業技術総合センターとのマシニングセンタの機上位置補正装置の共同開発をおこなわれています。

中島社長:
はい、自社の技術だけでは解決できなかったものを工業技術センターの力を借りて実現しました。
また雌ネジ補強用タングレスインサート挿入工具ではかなりのシェアを得ていますが、これはローテクですが加工はとても難しいものでした。
メーカーから長野県振興公社に打診があってうちでやることになり、中小企業創造活動促進法の第1号でもありました。

IMG_3125● 何本もの工具を持つNC機械

中村:
社員個々人の力を会社の組織力としてノウハウ化しておられることがキモだと思いますが、一朝一夕ではできないと思います。

中島社長:
品質生産性を維持していくために、わずかづつでも毎日取り組んでいくしかありません。
社員教育もOJT(On The Job Training:現場での教育)中心で行っています。
人材教育はとても難しいです。ここまで自動化などをやってこれたのは40年かかって自分が1からすべてやってきたからです。
その中でいろんな失敗もしてきました。失敗しなければ人は育たないともいいますが、厳しい言い方ですが、失敗しなきゃわからないのであればサルと同じです。
また1からすべてさせないといけないのか、と。先人が失敗したことを学んで同じ失敗はしないようにするのが人間です。
昔はある取引先を失注してもまた別の取引先があって他に転換しやすかった。
今は仕事が少ない中、お金が足りない中でやっていかないといけないのでとても厳しいです。
よく他社さんから社内の自動化を進めたいから相談に乗って欲しいと言われることがあります。
その時にこう質問します。まず、自動化の基本構想はあるのですか?あるとしたら図面にはなっていますか?図面があればそれを部品に分解できていますか?その部品は購入できるものですか?
ただ単に自動化といっても機械を買ってきて据え付ければいいものではありません。
その会社が何を目指しているのか、その会社の現状をきちんと把握しているのか、まずそういった足下のことが大切です。
在庫管理にしても、出庫は売上につながるのでどこの会社も割合きちんと管理していますが、今何が何個できているかの日々の生産管理は手薄です。
この状態だと在庫がマイナスで出庫をしてる状態になりかねません。
これからの課題としては、①どんどん進む多品種少量生産への対応、②少子高齢化対応、です。

ハイテク武装の武器を持つ

中村:
今後の展望をお聞かせください。

中島社長:
私が尊敬する経営者からこう言われたことがあります。
社長がいろんな行動をするのに使われた時間は最後は試算表に表れないといけないよ、と。
「時は金なり」といいますが、使った時間が財務諸表にお金となってあらわれないといけないってことです。
打合せをして同じ答えを出すのに、30分かかるのと1時間かかるのとでは倍違います。
会社の実力を例えていえば最低ラインは決算が終わって税理士から財務諸表を見せてもらって、この1年儲けてきたかどうかがわかる会社です。次にいい会社は、月次決算でわかる会社です。
目指しているのは、来月儲かるか儲からないかがわかる会社です。来月のことがわかれば早く手を打つことができます。
先端業界は変化が激しく儲けにくいと思います。中小製造業はローテクに従事すべきだと思います。私たち金属加工業なんてローテクですよ。とはいっても、企業競争の激しい時代ですので、最新の設備と管理手法を用いてハイテク武装しないといけません。
ロボット化も必要な人材が減っていくことへの対応ですし、最新の管理手法は先手先手を打つためです。いい武器がないと戦えません。

中村:
最後に塩尻の商工業についての想いをお聞かせください。

中島社長:
塩尻は人のつながりがあってとてもいいところです。
都会で情報を仕入れたり、営業は都会に持って行って、田舎でものを作るのはいいのかもしれませんね。
繰り返しになりますが、うちみたいなローテクな金属加工業といえども、最新の設備と管理手法で武装してもの作りを行っていかないと生き残っていけません。

KEN’S EYE

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meetup!@biz経営者インタビュー、第1回はいかがでしたでしょうか?
中島社長のことはお会いする前に物静かだが秘めたものをもたれている方だとお聴きしていました。
実際にお話しを伺ってまさにその通り、温厚で控えめな中に独自の経営理念や自社の強みに関するお考えがみえました。
最初にお聞かせいただいた3つの方針は、後になって縣陵三大精神とわかり中島社長の実直さを再認識しましたし、工場内を見学させていただいた際の社員さんの気持ちよいあいさつも社長の経営指針があらわれているものと感じます。
「ああ話したけど、うちがすべて出来てるってことじゃないよ」最後に中島社長はご謙遜されましたが、今風の表面上の派手さはありませんが日々の仕事を丁寧にこなして個々人の強みを会社の強み=組織資産として蓄え半歩先を行くという見えざる強みがあると感じました。
まさに質実剛健な会社の姿勢に襟を正す思いでした。

【インタビューアー:中村 剣(中小企業診断士)】 2014/02/06

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