「お役所運営はもういらない~これからの公共のあり方を考える~」

「お役所運営はもういらない~これからの公共のあり方を考える~」講演会に参加してきました。
講師の西川さん(特定非営利活動法人ハンズオン埼玉常務理事、恵泉女学園大学特任准教授)とは、講演会後の市民交流センター市民営研究会さらに懇親会までお話を聞くことができ、講演会では伝えられなかった内容も知ることができた。
その話からは、単に役所の仕事をNPOや民間に委託するだけじゃ問題の解決にならない構造が浮かんできた。

「お役所運営」というと、
マニュアル主義、前例主義、他人事、融通が利かない、事なかれ主義、予算主義、スピードが遅い・・・
などなどの悪いイメージばかりが出てくる。

ではなぜこうなっているのか?その根本原因は?
1つは市民からの苦情。意見+うらみ=苦情、である。
担当者に直接言わずにすぐに○○長という偉い人のところに苦情がいく。

管理構造

それは意思決定者と実行者が別だから。
意思決定者は指示命令を現場に下すだけ、現場は「やらされ仕事」をしているから、根本的に何もしない方が自分の得になる。
行政のサービス産業化は、利用者は自分はサービスを「受ける側」という認識を植え付けてしまい苦情ばかり言うようになってしまった。サービス提供者とサービス受容者という関係のため、市民間のコミュニケーションも少なくなってしまっている。

やらされでやっている部分をいくら民営やNPOに担わせてもこの構造が変わらない限り、単なる安い下請けになるだけで、問題は解決しない。

では、どうのように変えていけばいいのか?
西川さんのその1つの解として、決める人とやる人が同じ非分離型の運営をあげている。
利用者である市民が自分たちでルールを決める。当事者意識、お客ではなくオーナーであるという意識を持たせることだと言っている。

行政、市民、NPOが寄り合って、自分たちで使う施設のルールを自分たちで作っていく。
口も出して手も出すことで、自分事として関わるようになり施設にも愛着がわいてくる。

「もめてなんぼのもの」と思わないといけない。
とはいえ、「公共の運営」への専門性は必要になってくる。

そのためには、合意形成のデザイン力が必要だし、ファシリテーション力も重要になってくる。
自分を出していいなと思わせる雰囲気作り、みんなで相談することのデザイン、お互いできることを「もちよる」精神、そういったものがあってこそ、市民同士が話し合い、合意形成をすることができる。

なるほど、
単なるお金を誰に払うか、誰にやらせるかだけの民営化ではないことが理解できた。

企業でも、経営企画部門だけが戦略を練り、営業部門が実行するといった形だと上手くいかない時代になってきている。意図的に計画された戦略は行きづまっているのである。まったく今回の話と同じ構造である。

次回は、戦略論的立場から「公共の運営」を深掘りしたい。

 

 

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