おとうふは、白くて四角いとは限らない~「ザクとうふ」の哲学~

zakuとうふ「ザクとうふ」。
ご存じの方も多いかもしれません、機動戦士ガンダムに出てくる敵国ジオンのモビルスーツZAKU(ザク)のパッケージに入った豆腐です。
そのZAKU豆腐を作った相模屋食料(株)は、とうふ業界の最大手、年間売上高以上の40億円もの投資を行って豆腐づくりを近代化した会社だということはご存じ無い方も多いのでは無いでしょうか?

この本は、「ザクとうふ」の開発秘話ではなく、どんなにコモディティ化してても、どんなに業界に変化などないと思われていても、だからこそ変わっていかないといけない、これまでの常識に囚われてはいけない、という内容です。

スーパーの安売りの目玉である豆腐。数十円で売られるのでどうしても利益が出しにくく、さらなる価格競争で豆腐業者は疲弊していくばかりです。
とても豆腐業界に将来はない。誰もがそう思っていました。

 

 

社長の鳥越氏は元は雪印の社員。あの食中毒事件を体験し、その後相模屋に入ります。
「牛乳も白い、豆腐も白い、白いものに縁があるのかも」とも冗談交じりで話されています。

四六時中、豆腐のことを考え考え、そして結局は「時代の流れ」に沿った仕事をすること。
そのことは「相手が待ち望んでいる仕事をすること」です。
40億もの巨費を投じて豆腐づくりを近代化したのも、スーパーなどの小売りからの柔軟な発注に対応するためです。
機械化を進めた成果として、衛生度が上がり豆腐の賞味期限が延び、販売する範囲も増えました。

工場も土地には困らない群馬なので平屋の横に大きな工場を作ればいいところをわざと3階建ての工場でやったりします。
それは工場を「フォーマット化」していれば他の地域に進出した際に、応用がしやすいためです。

この本には中小企業が戦略として学ぶべきところがたくさんあります。
同じように機械化による安定供給戦略をとった企業として、日本酒の「獺祭」。
売上以上の投資を決断した地元長野塩尻のサイベック。
大企業の雇われ経営者では下せない決断を中小企業は下せます。その意思決定は速さ、スピード感と柔軟性を生かさないと大企業と差別化できません。

奇をてらった「ザクとうふ」のイメージでは無く、相模屋食料には経営の基本をしっかり守りながらも、ここぞという決断を行っている企業です。
このことは多くの企業、そして普段の仕事に対しての姿勢を改めて問い直すきっかけになりそうです。

ご一読を!

気に入ったフレーズをいくつかご紹介します。

ビジネスには「正規戦」と「ゲリラ戦」がある
正規戦・・・費用対効果やマーケティングを駆使
ゲリラ戦・・・妄想や個人の想いをもとに、人を巻き込んでいく

「相手が想像できないもの」は相手に伝わらない

たいていのことは「人海戦術」という手作業で解決できる

思いつきは、考え続けてきたことの結果だ。

「常識」をアップデートせよ。

「それはなぜか」を考える

「邪道」というものはない。売れるものが「王道」なのだ。

人生をかける仕事はなんでもいい。
「この業界のほうが儲かるから」「この業界のほうが将来伸びるだろうから」などということは、どうでもいい。
必要なのは「この場所で生きていく」という覚悟。

「おとうふは、白くて四角いとは限らない」

 

 

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