インクジェット技術によるものづくり革命~MITサロン~

塩尻インキュベーションプラザで昨年より行われている製造業の勉強会MITサロン。
M=Management、I=Innovation、T=Technologyということで毎回多様なテーマで行われています。
第9回となる今回はインクジェット技術で有名な地元企業マイクロジェットの山口社長を招いて、インクジェット技術の展望についてお話を伺いました。

説明をする山口社長

実を隠そう山口社長はエプソン出身。昨年岡谷商工会議所主催の3Dプリンターのセミナーでお会いして翌日会社に行かせていただき数時間もお話を聞かせてもらったご縁があります。
今回もセミナーもお忙しい山口社長の話が聞けるということで、遠くからの参加企業も多くおられました。インクジェットを生業としているミマキエンジニアリングさんやマスターマインドさんなど、みなさん興味津々です。

3Dプリンターが何かと話題になっていますが、ここでもインクジェット技術が大事な部分を占めています。
多品種少量生産というよりもオンデマンド生産になるため、これまでの製造、物流の概念が大きく変わります。

まず、版が不要でデータがあればいいので多数の在庫を持つ必要がなくなります。例えば靴とかそうですが、大企業が大量に作った中から選ぶのでは無く、自分に合った一品ものを作ることができます。
アフターサービスについても壊れた部品だけをオンデマンドで作ることで何十年も交換部品を抱えなくてすみます。
特にオンデマンド、ニッチ分野が広がるため大企業では参入しにくく中小企業に打って付けの事業規模の市場がたくさん出てきます。

でもここで考えなければいけないのは3Dプリンターが普及価格帯になったとしても、一般の人が簡単に扱うようにはならないだろうと思います。いくら好きなモノをオンデマンドで作れるといっても、そのデータを作るノウハウは別物ですし、素材も安価にならないといけません。

僕はよく3Dプリンターの話を聞くときにミシンと思い浮かべます。
ミシンがあれば布材料を買ってくれば好きな服やバッグなど作ることができますが、誰もがやっていることではありません。
出来合いを買ってくる方が手間暇コストがかからないからです。
3Dプリンターが普及するにしても、素材とデータ=レシピを握ったところに大きなチャンスがあると思います。

その素材を実験するための装置がこのバイオスポッターになります。どのような素材が利用可能なのか研究開発用には必須の機械となります。
バイオスポッター

また、バイオでのインクジェット応用として使い捨て型のヘッドも開発されています。
それがPipeJetと呼ばれる下の写真のもので、噴出する液によって上部の漏斗と噴出する針を交換して使い捨てます。
医療用ディスポーザブルヘッド

家庭用プリンターのイメージが強いインクジェットですが、紙に印刷する分野は広いインクジェット技術のただ1つの分野でしかありません。
ものづくり応用、バイオ応用とこれからインクジェット技術を使うことで生産プロセスも材料も従来の価値観から変わることでしょう。
それを担う企業が地元にあることはすごく誇りに思います。

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